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16年に来日したコンさんは仙台市の建設会社で働いたが、「死ね」とののしられハンマーで殴られたり、たばこの吸い殻を投げつけられたりしたこともあった。働き始めたばかりの時、日本人社員たちから背中や肩などに入った入れ墨を見せられた。「怖くてびっくりした」。一緒にいたベトナム人実習生6人のうち、2人は逃げ出した。

壁紙などの内装を手がける「壁装」の実習のはずだったが、実際にやらされたのは建物の解体や田植え、社長の家の掃除など。壁紙などに触れたのは、実習の内容を習得できたかをチェックする試験の時だけ。賃金の未払いもあり、家の電気代などを差し引かれると、給料明細がマイナスになることもあった。

「動物のような扱いを受けた。日本人は怖い。日本にいて覚えたのは、悪い言葉だけ」。コンさんが警察に訴えても、監理団体の連絡先を聞かれ、戻るようにと言われただけだった。結局、解雇され、群馬県伊勢崎市にある監理団体のアパートで暮らした。

 新しい実習先も見つからず、金もなく、追い詰められた。畑に捨てられていたトマトやキュウリなどを食べた。「泥棒になりたくないから、捨てられていたものを拾った」。川の魚も釣って食べた。米があるときは、塩をかけ1日1回だけ食べた。一緒にいた友達と死のうと話したこともあった。別の実習生の仲間は、夜中に暗闇で1人でぶつぶつと話すようになった。

日本でうけたひどい扱いについて、帰国後に話すようになったコンさん。

コンさんは追い詰められても犯罪者にはならなかったけど、このような劣悪な会社がベトナム実習生を追い詰めるから、ベトナム人の失踪者、犯罪者が増えるのだという日本の現実。

ベトナム人の犯罪が多いのは、ベトナム実習制度の改正【ベトナム実習生の転職の自由や、政府公認の相談窓口の開設、入国時に100万円前後の高額な不当借金の禁止をベトナム政府に徹底させるなど】をしない日本政府が悪いと言っても過言ではない。