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出稼ぎが多い中北部ハティン省で漁師の家に生まれたグエン・ドゥック・フーさん(36)は2016年、借金をして送り出し機関などに約110万円を支払い、来日した。シンガポールへの出稼ぎがうまくいかず、直前に帰国した兄の分と合わせ、借金は計約250万円に膨らんだ。

フーさんの実習先は名古屋市の建設現場で、足場を組む仕事だった。月給14万円と聞いていたが、1日14時間働いてもらえたのは約6万4千円。「このままでは借金が返せない」と焦り、3カ月で逃げ出した。

 ホテルの客室清掃、農家、梱包(こんぽう)などの仕事の転々としながら3年ほど働いたが、19年3月、千葉県のアパートで風呂に入ろうとした時、脳梗塞(こうそく)で倒れた。一緒に住んでいた失踪仲間がタクシーで病院に運び手術したが、半身不随になった。保険はなく、治療費は約880万円に上った。募金で集まった48万円を支払うのが精いっぱいだった。その年の6月に帰国した。

悲惨な人生を辿ったベトナム実習生のひとりの例です、ご愁傷さまです。