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日本は欧米と比べると現金社会と言われ、現金を持ち歩く人が結構多いと言われますが、ベトナムは日本以上に現金社会だと思います。多額の現金を無造作に袋に詰めて持ち歩いたり、むき出しのままポケットに入れたりしているのをよく見かけます。こういう国ではクレジット・カードはなかなか普及しないようです。クレジット・カードを持っているベトナム人の多くは海外旅行用に作った人が大半である、と聞いたことがあります。アメリカのホテルなどは、チェック・インの際にクレジット・カードの提示を求められるところが大半ですから。

従ってマスター・カードやビザ・カードの加盟店になっているところは、外国人に対する売上に依存しているところが多く、中でも外資系のホテルや民族系でもホテルのように外国人利用客とスムースに取引を行う必要があるところは、経験上、手数料の上乗せは行っていないように思います。お土産もの屋さん等も同様です。もともと加盟店手数料を支払っても儲かるようなマージンをとっているとも言えるでしょう。

一方、クレジット・カードが普及していないベトナムのような国では、加盟店手数料自体先進諸国と比べ割高らしく、地場客・在住者相手の店は、それをそのまま顧客に転嫁したり、更に便乗マージンを加えたり、というところが出てくるのだと思います。クレジット・カードを手数料上乗せなしで受け入れた方が、結局売上増大につながるのだという大局的観点にたてないのです。特に携帯電話等海外から製品輸入している商品を販売している店は、マージンがもともと低いのに過当競争しているようで、加盟店手数料支払いに耐えられないのでしょう。私も着任当初タックス・トレード・センターにあるボーズの店で1,500ドルくらいの買い物をしようとして、3%のクレジット・カード手数料を請求され、「だったら買わない」「なら買わなくてよい」という成り行きになり、その商売気のなさに唖然としたことがあります。(同じ建物内でも3階に行くと扱っているものがmade in Vietnamのせいか、思いっきりディスカウントしてくれるのですが)

金融機関と加盟店がこのような力関係(多分に加盟店側の認識不足による誤った強さだと思いますが)にあると仮定すると、当面、カード会社に手数料返還を申し入れても応じてくれる可能性は少ないような気がします。でも、そのような申し入れをしたり、そういう手数料を上乗せするような店からは物を買わない、という意思表示をすることは、加盟店の認識を改めさせるという意味から大事なことですね。限られた時間の中で一期一会のように出会えたものを買わなければならない旅行者にとっては難しいことだと思いますが、在住者は、ローカル小売店の根性を改めさせる意味からも、しっかりノーと言うべきなのかもしれません。そういう店からは買わないよ、と。飲食店などは、サービスの提供が終わった後の請求になりますし、現金はない、とゴネられても後の商売に差し支えるので、上乗せ請求を行うところは少ないように思います。

因みに日本でも私が中学生の頃、JCBカードなるものが普及しだしましたが、当時は加盟店手数料を上乗せする店が多くありました。(時計屋さんなんかですね。)クレジット・カードを使うこと自体、いいかっこしーと見られていた時代です。その後クレジット・カードの普及を目論む通産省(だったと思うのですが)の通達により手数料上乗せが禁じられ、日本も本格的カード時代に入ったやに記憶しています。(ベトナムでそういう通達が出たり法律ができたという話は知りません。)